間質性肺疾患(ILD)の専門病院・非専門病院に関わらず、Web ベースの MDD 診断と診断オントロジーを使用して、本邦におけるILDの各疾患(特発性肺線維症(IPF)・膠原病関連ILD・慢性過敏性肺炎など)の相対的罹患率を調査する。
また、ILD患者の各疾患分類・疾患進行とベースラインパラメータ、HRCT 画像、パターンおよび病理画像の関係を明らかにし、臨床アウトカム(診断、疾患進行、治療効果)予測モデルを作成する。さらにILDの中で進行性の表現型を調査する。
特発性間質性肺炎(IIPs)の疫学調査,診断精度の向上,診断の標準化,予後予測・層別化法の改善に貢献できる診療エビデンスを創出する。
1. IIPs患者の前向きレジストリと血清レポジトリを構築し、MDD診断に基づいたIIPsの正確な疾患疫学を明らかにすること
2. IIPsの診断や予後の予測に有用なバイオマーカーを開発すること
3. IIPsの診断に有用なマルチモーダルAI診断システムを開発すること
中央登録方式による多施設共同前向き観察研究
国内各施設で登録時にILDを認める症例のうち、24 ヶ月以内にILDを新規に指摘された症例.
本研究の参加医療機関(共同研究機関)において、新規に特発性間質性肺炎(IIPs)と診断された患者
リアルワールドで、MDD 診断に基づくILD(IPF を含むIIPs、膠原病関連ILD、慢性過敏性肺炎など)の相対的罹患率を調べる.
MDD診断システムに基づいたIIPsの疾患疫学(疾患別頻度)
1. ILD患者の疾患・進行と、ベースラインの各パラメータ・HRCT 画像・CT 画像パターン・病理画像パターンの関係を明らかにし、臨床アウトカム予測モデルを作成する。
2. 各ILDで適切と考えられる治療に関係なく,過去 24 カ月以内に線維性変化の以下の基準の少なくとも 1 つを満たすことにより定義される進行性の表現型を調査する;
〇 相対的 FVC の 10%以上の低下(%pred)
〇 相対的 FVC が 5%以上 10%未満低下(%pred)しており、かつ site investigator が呼吸器症状が悪化していると判断
〇 相対的 FVC が 5%以上 10%未満低下(%pred)しており、かつ site investigator が胸部画像検査(HRCT スキャン)の線維性変化の範囲が 10%以上増加していると判断
〇 site investigator が、FVC の変化とは無関係に呼吸器症状が悪化しており、かつ胸部画像診断(HRCT スキャン)の線維性変化の範囲が10%以上増加している、と判断
1. 疾患進行率
2. 生存期間/生存率
3. マルチモーダルAI診断システムの診断精度・予後層別化能
4. 新規バイオマーカーの診断精度・予後層別化能
5. 累積急性増悪発生率
6. 膠原病・血管炎発症率
7. 肺癌発症率
8. 呼吸機能の経時変化
探索的項目
1. 集積した研究データを用いた探索的な個別研究
2. バイオマーカーの探索
3. 終末期医療の実態(死亡例のみ)
以下の基準をすべて満たす患者を対象とする
1. 登録時にILDを認める症例のうち,各施設で 24 ヶ月以内に新規にILDを指摘された症例.
1. 各施設で新規にIIPsと診断された患者
2. 同意取得時の年齢が20歳以上の患者
3. 本研究について本人または代諾者による同意書への署名により同意が取得できる患者
以下のいずれかにあてはまる患者は,両研究に組み入れないこととする.
1. 呼吸機能検査など,本研究で実施される諸検査に協力できない症例
2. 登録時までに肺葉切除術以上の肺切除を施行した症例
3. MDD中央診断チームが診断を行うまでに,ILDの診断を行うのに十分な問診,検査がなされていない患者
2700例
1000例(PROMISEと重複)
2020年7月から2035年12月まで
2020年7月から2027年12月まで
症例登録期間 研究機関の長による実施承認日から2022年10月まで
登録後3年間
登録後5年間
緑の太字は両試験に共通な必須項目
赤の太字はIBiS試験のみの必須項目
1. 同意取得日
2. IIPsの施設診断名と診断日、過去の胸部画像にてILDの存在が指摘できる日(遡って確認できる症例のみ)
3. 呼吸器症状から判断した発症形式: 急性発症 1か月以内、亜急性発症 1~3か月以内、慢性発症 3か月以上、無症状
4. 性別
5. 生年月日
6. 居住地(市区町村)
7. 喫煙歴、喫煙本数/日と喫煙年数
8. 間質性肺炎の家族歴(2親等以内)
9. 生活歴: 粉塵暴露の有無・詳細、職業歴、環境暴露(鳥との濃厚接触、羽毛布団、ダウンジャケット、その他)
10. 登録時の併存症・既往歴: 悪性腫瘍、虚血性心疾患、心不全、膠原病・自己免疫性疾患(発症時期や治療)
11. 登録時の治療薬情報: 開始日、種類、量(ニンテダニブ、ピルフェニドン、ステロイド*、免疫抑制剤**、治験薬やその他
12. 主治医からMDD判定医への追加情報・コメント(自由記載)
1. ILDを指摘された時点の呼吸機能検査: FVC、%FVC、FEV1.0、%FEV1.0、身長、体重、検査日
2. ILDを指摘された時点から登録時までの治療薬情報:開始日、種類、量
3. 肺生検:
外科的肺生検(SLB)もしくはクライオ生検(TBLC)の有無・実施日・病理スライド
気管支鏡下肺生検(TBLB)の有無・病理所見(各施設の所見)
4. 気管支肺胞洗浄液(BAL)所見: 回収率,総細胞数,分画,CD4/8比
記載の無いものは登録3か月以内。登録日と同一日は可とする。欠損値がある場合は登録後3か月以内の追記は可とする。
1. 身長・体重
2. Performance status(PS)
3. 症状と身体所見
症状:
咳嗽,労作時呼吸困難(mMRC)、多発関節痛、朝のこわばり、筋痛、眼乾燥症状、口腔乾燥症状、末梢のしびれ・感覚低下、羞明
身体所見:
ばち指、fine crackles、多発関節腫脹、筋力低下、頬部・蝶形紅斑、ヘリオトロープ疹、ゴットロン徴候・丘疹、メカニクスハンド、手指硬化、指尖部潰瘍・陥凹性瘢痕、レイノー症状、膠原病内科または皮膚科の診察の有無
4. 血液検査:
白血球数、白血球分画、Alb、AST、ALT、ALP、T-Bil、CK、Cre、KL-6、SP-D、LDH、CRP、BNP(NT-proBNP)、ACE
5. 尿検査:尿タンパク、尿潜血
6. 膠原病関連自己抗体:
抗核抗体、RF、抗CCP抗体、抗SS-A抗体、抗ARS抗体、MPO-ANCA
抗dsDNA抗体、抗DNA抗体、抗Sm抗体、抗SS-B抗体、抗Jo-1抗体、抗MDA5抗体、抗Scl-70抗体、抗セントロメア抗体、抗RNAポリメラーゼⅢ抗体、抗RNP抗体、PR3-ANCA
7. 動脈血液ガス分析:PaO2、PaCO2
8. 経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)
9. BAL所見:回収率、総細胞数、分画、CD4/8比
10. 呼吸機能検査:FVC、%FVC、FEV1.0、%FEV1.0、DLCO、%DLCO(RV、TLC)
11. 6分間歩行試験:酸素投与量,歩行距離,最低SpO2
12. 胸部正面レントゲン
13. 胸部HRCT
14. 肺生検:
SLBもしくはTBLCの有無・実施日・病理スライド
TBLBの有無・病理所見(各施設の所見)(6か月以内のもの)
15. 在宅酸素療法の有無
16. 血清保存(登録時,可能な限り未治療の時点のもの)
→ IBiSのみ
1. 施設診断の変更の有無(膠原病/血管炎の発症有無を含む)
2. 転帰と日付、死亡の場合は死因
3. mMRC、PS
4. 呼吸機能検査:FVC、%FVC、FEV1.0、%FEV1.0、身長・体重
5. 胸部HRCTによる線維性変化の有無(画像収集は行わないが、撮影は必要)
6. SLBもしくはTBLC(登録後に施行した場合)
7. BAL所見(登録後に施行した場合)
8. 在宅酸素療法の有無
9. 登録後12か月以内の臨床イベントの有無(急性増悪,肺癌の発症・組織型,肺移植,在宅酸素療法)と発生日
10. 登録後12か月以内のIIPsに対する初回治療薬剤とその後の変更情報:開始日,変更日,種類,投与開始量,変更または中止理由
11. 抗線維化薬によると思われる副作用情報:発現日,重篤度
12. 血清保存(MDD診断によってIPFと診断された症例の、登録後12か月のみ)
→ IBiSのみ
登録後60か月時点の転帰と日付,死亡の場合は死因 → IBiSのみ
死亡前の緩和医療の内容